
はじめに
2025年度のSANOスプリントは、地域に根差した大会運営の推進、全年代が参加できる練習環境の整備、そして所属選手の競技力向上を三本柱として活動を展開した。大会数・参加者数ともに過去最大規模となり、地域スポーツの拠点としての存在感を一層高める一年となった。
本報告書では、年度を通じて実施した活動を「①大会開催」「②練習会開催」「③所属選手の活躍」の3カテゴリーに整理してまとめる。
1.大会開催
今年度は、SANOスプリントとして 5大会(うち、3大会はWRk)と1記録会 (非公認)を開催した。日本全国からの参加に加え、海外からのアスリートも来訪し、国際的な広がりを感じられる大会となった。トップアスリートからジュニア、マスターズ、パラアスリートまで多様な層が佐野市(※記録会についてはカンセキスタジアムとちぎで実施)に集い、年間を通じて活気ある大会運営を行うことができた。
これらの大会は、地域のスポーツ振興と競技レベルの向上に大きく貢献した一年となった。以下、3大会を具体的に取り上げる。
(1)2025年度 第1回SANOスプリント(WRk)
・開催日:5月4日(日)
・参加者数:延べ約700名(31都道府県+オーストラリアからの選手1名)
・競技種目:男・女100m、200m、60m、ハードル(110mH・100mH)
・特筆すべき参加選手:
末續慎吾選手(EAGLE RUN)
男子200m日本記録保持者。五輪銀メダリスト。世界陸上銅メダリスト

大貫健太選手(BTP)
陸上系YouTuberとして精力的に活動。今大会で35才にして自己新記録(10秒59)を達成

Carla TAKCHI選手(オーストラリア)
織田記念陸上からSANOスプリントへ転戦

・特徴:国際色豊かで、トップアスリートを招いた大会として注目を集めた
(2)第2回栃木県クラブチーム対抗チャンピオンシップ
※ OCOSITEI、Leap RCと共催で実施
・開催日:7月21日(月)
・会 場:カンセキスタジアムとちぎ
・参加数:19クラブ・延べ800名(前年15クラブ・500名から増加)
・区 分:キッズ、ヤング、シニア、いぶし銀の部
・競技種目:短距離・中長距離・跳躍・投擲
・新規競技:スーツハードル(Instagram再生数:60万回超)
https://youtu.be/VWSfAF-Nt6s?si=px59GkVcuw5OnU54
(Youtube:SUITS HURDLE-スーツハードル走-)


・子ども向け企画:
ふれあい親子かけっこ体験(未就学児対象)
50mダッシュチャレンジ(小学校低学年対象)


・ご当地キャラクター:とちまるくん(栃木県)、さのまる(佐野市)、たかうじくん(足利市)、ティラノくん(OCOSITEI)が応援に駆けつける。
・特徴:地域の子どもや家族も参加でき、SNSなどでも話題になった



(3)8月10日・11日の連続大会
① 2025年度第1回 SANO公認100m記録会
- 参加者数:延べ約600名
- 目的:公認記録を目指すスプリンターのための大会
- 成果:多くの選手が自己ベスト更新を目指して挑戦。日本記録保持者・山縣亮太選手(SEIKO)も熱走。

② 2025年度第2回 SANOスプリント(WRk)
- 参加者数:延べ約1,000名
- 国際参加:中華台北、シンガポールの選手も出場
- 特筆すべき成果:
- シンガポール代表選手が200mで同国新記録を樹立
- デフリンピック日本代表選手やパラアスリートが参加し、幅広い層が競技できる多様性・ユニバーサルスポーツ的コンセプトを体現


③ 第3回 SANOトワイライトゲームズ(WRk)
- 競技種目:男・女100m、男子走幅跳、男子やり投
- スペシャルゲスト:栁田大輝選手(翌週に100m9秒92wをマーク)のトークショー・写真撮影会を実施し、大好評を博す
- MC:藤光謙司氏(世界陸上銅メダリスト)、宇佐美菜穂氏(アシックスランニングナビゲーター)


- 地域連携:佐野市の全面協力のもと、市内の全小学生(約5,000名)ならびに市スポーツ施設等に大会広報チラシを配布
- 観客動員数:約2,300名(メインスタンド席満員)
- 競技結果:
- 男子100mでは日本記録保持者・山縣亮太選手(SEIKO)や東京五輪日本代表・多田修平選手(住友電工)、パリ五輪日本代表・東田旺洋選手(関彰商事)らが熱戦を繰り広げる。
- 男子やり投で世界陸上日本代表・小椋健司選手(エイジェック)が連覇


- 参加型企画:さのまると小学生によるかけっこイベントを実施
- 副賞:上位入賞者には佐野市の伝統工芸品「天明鋳物」を贈呈
- 特徴:地域資源やキャラクターを活かし、世代を超えた交流の場となった


これらの取り組みにより、競技者だけでなく家族連れや子どもたちも楽しめる大会となり、陸上競技の魅力を幅広い世代へ発信する貴重な機会となった。地域住民からは「応援しやすい」「イベントとして楽しい」といった声が寄せられ、観客満足度の向上にもつながった。地域資源を活かした大会運営のモデルケースとして、今後の発展に向けた手応えを得ることができた。

2.練習会開催
競技力向上とスポーツコミュニティの形成を目的に、年間を通して練習会を開催した。2025年度は、より専門性と受け入れの幅を広げた一年となった。
練習会は短距離系と投擲系に分かれた専門クラスを定期開催し、それぞれの種目特性に応じた技術指導を実施した。
短距離系ではスタート技術・加速局面・トップスピード保持などをテーマに、フォームチェックや個別課題へのアプローチを強化した。

投擲系では、砲丸投・円盤投・ハンマー投・やり投の基礎技術に加え、回転動作やリリース角の改善を中心に、初心者から競技者まで幅広いレベルに対応したメニューを展開した。また、ジャベリックボール投に取り組む小学生に段階的なフォーム指導も実施し、正しい投げ方を身につけながら着実に記録を伸ばすことができた。

また、(特に短距離で)マスターズ選手の参加率が高いことが大きな特徴であり、日常的に競技へ向き合う姿が練習会全体の雰囲気を支えている。そこにジュニアや一般選手も加わることで、年代を超えた交流や助け合い、学び合いが自然と生まれる環境が形成された。
これらの取り組みにより、SANOスプリントは 地域の競技仲間が自由に参加できる“開かれたクラブ” として定着しつつあり、練習会の充実は所属選手の記録向上にとどまらず、地域スポーツ文化の醸成に大きく貢献した一年となった。
3.所属選手(SANO SP AC)の活躍
2025年度は、所属選手が国内外の大会で大きな成果を挙げ、SANOスプリントの存在感と競技力の高さを全国に示した一年となった。各選手の成果は、クラブが掲げる「世代を越えた学び合い」「誰もが挑戦できる環境づくり」を体現するものであり、地域スポーツの新たなモデルとしての価値を示す結果となった。以下に特筆すべき4名を挙げる。
● 鈴木 わかば
悲願である日本選手権大会初出場を果たした。春に大学を卒業したばかりの社会人1年目の選手。社会人アスリートとして、慣れない仕事と競技とを両立させ、日本グランプリで入賞し、自己新記録を更新するなど競技力を伸ばした。

引用:@Getsuriku
● 高橋 小夜
全日本マスターズで大会新記録を樹立して全国制覇。持ち味であるスプリント力に磨きをかけ、全国レベルで力強い走りを示した。シーズン後半には自己記録も更新し、日本女子マスターズ短距離界で確固たる地位を築いた。その活躍は、継続的な練習でスピードを高められることを示す好例となった。

● 吉永 一行
アジアマスターズ(インド・チェンナイ)で優勝を果たし、国際大会での経験を積むことができた。日々の練習で基礎を丁寧に積み重ね、海外の選手とも互角に競う姿勢が成果につながった。来年の世界マスターズ大会での上位入賞と自己記録更新を目標に、さらなる挑戦を続けている。

● 遠藤 史晃
世界陸連ブロンズレフリーとして、東京2025世界陸上の審判に従事した。国際大会での審判経験を通じて、競技規則や運営の細部にわたる知識を身につけ、その経験をクラブに還元している。大会運営では安全面や公正性の確保に力を発揮し、選手指導においても技術やルールの理解を深めるサポートを行うなど、クラブ全体の運営力と競技力向上に大きく貢献した。

これらの成果は、単なる個々の活躍に留まらず、ジュニア・一般・マスターズが同じフィールドで学び合い、高い意欲で挑戦し続けるSANOスプリントの環境が生み出した結実と言える。世代や競技レベルをこえて互いに刺激し合う文化が、選手の継続的な成長と成果につながり、2025年度は「クラブ全体が強くなった」ことを実感できる一年となった。
今後の展望
- 大会運営の多様化
従来の競技場開催に加え、街中や公共空間を活用した「ストリート陸上」の開催を検討
陸上競技への接点が少ない層やファミリー層への体験機会を拡大
- 練習環境の充実
短距離・跳躍・投擲など種目別の専門指導を継続
ジュニアからマスターズまで幅広い世代が共に学べる環境を提供
個々の目標やライフスタイルに応じた柔軟なプログラムを展開
- スポーツの価値創造
地域企業・自治体との連携による教育・健康・福祉・観光などへの多面的価値創出
パラアスリートや障害者スポーツとの連携強化
誰もが参加・楽しめるインクルーシブなイベントや体験型プログラムを拡充
- クラブ全体の成長支援
選手の挑戦と成長を支える環境整備を継続
新たな大会形式や練習会の質向上を通じて、地域スポーツ文化の拠点としての価値を強化
陸上競技の魅力を全国に発信し、地域スポーツ振興に寄与
総括
これらの取り組みを通じ、SANOスプリントは大会・練習会・所属選手の活動を一体化させながら、地域スポーツの発展と陸上競技の普及に貢献する持続的で挑戦的なクラブとしてさらに成長していく。
