(一社)SANOスプリントでは、SANOスプリントやSANOトワイライトゲームズといった日本陸連公認競技会以外に開催している競技会があります。それが「SANOトライアル」です。2023年は4回実施しました。

 公認競技会と同じように、電動計時で100分の1秒まで計測するとともに、風速の測定も行います。会場はSANOスプリントシリーズと同じ、清酒開華スタジアムです。

 3月に行われた第1回SANOトライアルでは男女の100mのみ実施しましたが、それ以降は非公認であることを存分に利用した特徴のある種目を行いました。

6月の第2回大会は100mに加え、50mを実施。また、男女を分けずに行いました。50mというと、陸上競技の大会で見ることはまずありません。しかしながら、新体力テストや他競技では良く用いられる距離であり、一般的には馴染みのある距離といえます。当日は、陸上競技専門の選手以外に、地元佐野市内の高校のサッカー部や野球部がまとまって参加してくださりました。サッカー部や野球部の生徒も、普段の練習の中で誰の脚が速い・遅いなどということは感覚的に分かるところですが、実際に100分の1秒単位で正確に記録を測定するとともに、陸上競技専門の選手の走りやタイムを目の当たりにして、新鮮な気づきがあったようです。皆、楽しそうに記録に挑戦する姿がそこにはありました。

 1か月後に行われた第3回大会では、ハードル種目を追加しました。100mユースハードルです。エントリーは男子選手のみとなり、結果的に「男子100mユースハードル走」となりました。前回大会の50mを上回る珍しい種目といえます。

 ユースハードルは、ハードル間の距離を8.5m、ハードルの高さを76.2cmにして実施されます。女子では中学生や高校生を対象に数多くの競技会で実施されていますが、男子は中学生であればミドルハードル(91.4cm)、高校生になるとジュニアハードル(99.1cm)かハイハードル(106.7cm)で、ハードル間の距離は9.14mです。まず、男子がユースハードルのレースを体験することはありません。実際に参加した選手からは「想像よりもハードルが低く感じられ、ハードルを越えるとすぐに地面に着地する。跳ぶというより走る種目だと感じた」ということで、大いに盛り上がりました。

 第4回大会は9月に行われました。こちらでの実施種目は100m、50m、110mミドルハードル、そして「ふれあい親子25mかけっこ体験」。はじめの3種目は良いとして、新たに謎の種目が採用されました。

 「ふれあい親子25mかけっこ体験」は概ね4歳くらいの子どもとその保護者が参加できるかけっこ体験です。保護者は子どもの隣のレーンで、伴走したり手をつないで走ったりすることができるものです。小さい子どもたちは、土のグラウンドや芝生のグラウンドを走り回ることはあっても陸上競技場で、なおかつ記録を測るという経験ははじめてのはずです。当日は、お父さんやお母さんだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんが駆けつけ、一生懸命に走る子どもたちに温かい声援を送る姿やカメラを向ける姿が多く見られました。
 スタンド席からではなくグラウンドレベル・ゴール付近やコース脇といった「超・間近」での観戦です。子どもたちのなかにはゴールまで一直線に走った子もいれば、途中で立ち止まってお父さんやお母さんにゴールまで運んでもらう子どももいて、会場内は和気あいあいとした優しい雰囲気に包まれました。はじめての競技場で少し緊張していた子どもたちも、ゴール後に参加記念品であるお菓子を受け取るとニコニコと嬉しそうな表情となりました。

 他3種目は男性の参加者が多かったため、主にお父さんということになりそうですが、ふれあい親子かけっこ体験の前後には50mや100m、ハードル走に全力で取り組む姿を家族みんなで応援するような光景も見られました。競技終了後は記念撮影があちらこちらで行われていました。それぞれの参加者や家族、関係者にとって少しでも記念になるような場を設けることができたならば、運営スタッフとしてとても嬉しいところです。

 2024年シーズンもSANOトライアルは実施していきたいと考えています。どんな種目を実施するのか、どんなドラマが生まれるか。公認競技会であるSANOスプリントシリーズに負けない競技会・SANOトライアルにもご注目ください。そして、多くの方々のご参加をお待ちしています。